Liveworld

海外大学院を目指す翻訳者です

私がマイナー言語を勉強する理由

私はラトビア語を勉強しています。

これを友人に話すと、
「え、ラトビアってどこ?」
ってまず聞かれます。
確認しましょう。
ロシアの西側にあるバルト3国(エストニアラトビアリトアニア)の、真ん中の国です。
九州くらいのサイズ感です。

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私も高校の世界史で、バルト3国のくくりで覚えただけで、それから10年弱「ラトビア」というワードを口にすることなんてありませんでした。
しかし人生とは不思議なもので。
ラトビアとは無縁な私が、毎日ラトビア情報を耳にするようになるとは。


ラトビア人の彼は英語がペラペラなので、
私達の共通語は英語です。

最初のころは、
「フランス語とかだったら勉強して意味あるけど、ラトビア語はな~。」
と、あまりの需要のなさに全く勉強する価値を感じられませんでした。
こんなこと、とても面と向かっては言えません。

ところがある日のこと。
私が両親と電話を切った後、
彼が何とも嬉しそうに、
「そうそうそうそう!」
と真似してきたのです。
一通り意味を説明して、私はふと思いました。
言葉って文化を全面に押し出すんだ、と。

「そうそうそうそう!」という言葉は、
ただの同意表現であり、言葉自体に深い意味はありません。
しかしラトビア語では"そう=yes" を意味する"ja"はあっても、この"ja"を"jajajajaja!" とは使いません。
むしろ、相手が話しているときに"jajajajaja!"なんて言ったら、相手の話がつまらない、もはやさえぎって自分の話をしようとしている、と捉えられかねません。
それだけラトビアでは、意見を主張する、ということが重要視されているのです。
逆に日本人は、相手に同意し同意されることが心地よいから、「そうそうそうそう!」なんて連続して使っちゃうのでしょう。

この日を境に、相手の態度からだけでは分からない、言葉に隠された文化が気になり始めました。
それはまるでミステリーです。隠れミッキーとも言えるでしょう。
ラトビアという、いわゆるマイナー国の文化情報は、日本にほとんど落ちていません。
たとえラトビア人と話していても、
英語での会話だと英語圏フィルターがかかり、
彼らの本質的な文化が見えづらいのです。

マイナー言語を勉強するということは、私にとってはマイナー国の文化の謎をとく最大の手掛かりなのです。